「電子芸術国際会議ISEA2017 Manizales Colombia BIO CREATION & PEACE PAPERS – ACADEMIC ACTIVITIES, PROCEEDINGS FULL RESEARCH PAPERS」P238〜246
2017年6月
単著
査読付き
コロンビアで行われた電子芸術国際会議ISEA2017において、愛知県長久手市と愛知県立芸術大学の地域社会や自然の生態系を背景として10年間にわたって企画・運営をおこなっている「三ケ峯エコハウス」や大学院美術特別研究「環境とメディア」における「自然農」の取り組み、「親と子の野外体験ワークショップ・フォレスト」「ながくてピクニック」などの体験や交流、「農ある暮らしのポータルサイト・ながくてゆいまある」などのインターネットによる情報を伴ったクロスメディア的、包括的な取り組みについて、その背景と相互の関連、活動の経緯、手法について述べた。
The Sagamine Satoyama Plan is an initiative underway in the Sagamine district of Nagakute City in Aichi Prefecture, Japan. This is a comprehensive undertaking, aiming at the preservation of the agriculture rooted in the natural environment of the area, the creation of a distinctive local culture and enhanced human interaction between local residents. The initiative is carried out on the understanding that the locality’s natural environment and agriculture form a single ecosystem, along with such elements as local festivals, the internet, and renewable energies.
三ケ峯里山計画は、日本の愛知県長久手市の三ケ峯地域で行っている、地域の自然環境や農、祭とインターネット、再生可能エネルギーなどを一つの生態系として捉え、地域に根ざした農や自然環境の維持と地域固有の文化の創造、地域住民の交流の活性化をおこなう包括的な取り組みである。三ケ峯里山計画では、三ケ峯の自然環境や長久手市内で様々な活動を行っている。活動する地域は山、林 、野、原、 家、畑、祭、 里の8つの領域に分類され、それぞれの領域で様々な活動をおこなっている。現代の日本では、マスメディアや原子力発電などの巨大な垂直統合型のシステ ムの様々な弊害が顕著になっている。一 方インターネットや再生可能エネルギー などのパーソナルな分散型の情報システムが発展しつつある。現在では日本古来の農業をベースにした地域の共同体は消滅しつつあるが、現代の地域の住民はスマートフォンやインターネット、SNS を利用するようになり、それらを使った新しいゆるやかな地域の共同体をつくることができる可能性がある。 三ケ峯里山計画では、希薄になってし まった従来の農業をベースとした地域の共同体に代わって、伝統的な生活様式や 文化と自然エネルギーやインターネットなどのテクノロジー、自然、農、食、ア ート、音楽を包括的に利用した、地域循環型の社会、現代の里山をつくることを目指している。そして地域主体のコンパクトでスマートな暮らしの実現を目指し ている。