「体験のデザイン」タグアーカイブ
犬山串キング決定戦
日本ラインフィルムコミッション連絡協議会webサイト
愛知県の日本ラインフィルムコミッション連絡協議会のwebサイトのデザインのディレクションをおこなった。全国のフィルムコミッションの先行事例を調査し、犬山とその周辺の事情に最適なサイト構成を探った。またGoogle Map APIを使用してロケ地のマッピングをおこない、ロケ地巡りなどの用途に利用できるようにした。
犬山紅葉情報 webページ、チラシ、サイン計画
ワールドコラボフェスタ2010 フライヤー、パンフレット、webサイト
愛知県名古屋市栄で開催された国際交流・国際協力・多文化共生などを学ぶワールドコラボフェスタ2010のwebサイト、フライヤー、パンフレットのディレクションをおこなった。世界のお祭りや芸能、食、フェアトレード、造形に関係するイベントであるため、イラストを使用して楽しさを演出した。(webサイト:html、フライヤー:A4サイズ、フルカラー、パンフレット: A5サイズ、4C)
委託:ワールドコラボフェスタ2010
ディレクション:石井晴雄
デザイン:小山奈緒子
イラストレーション:宮崎知恵
犬山七福めぐり御朱印帳
犬山市の公式キャラクターわん丸君誕生日イベント
城下町着物DAYS
愛知県犬山市で、着物を着て城下町の歩くことを推奨するイベントのチラシのデザインディレクションをおこなった。
クライアント:犬山市観光協会
ディレクション:石井晴雄
デザイン、イラストレーション:小山奈緒子
すずめバルーン
すずめバルーン 杉浦裕志(大学院1年)
長久手アートフェスティバル2009
2009.11.8
愛知児童総合センター 畑プロジェクト
愛知県長久手市の愛知県児童総合センターの野外の広場で畑をつくり、市民が野菜を育てて収穫し調理することができるプロジェクトのディレクションをおこなった。参加者が生きものと太陽、空気、水、土とのつながりを感じ、参加者同士のコミュニケーションを活性化させることを目指した。(幅8m,奥行き20m)
ディレクション、制作:石井晴雄
協力:樋口仁
犬山市の公式キャラクターわん丸君音頭
愛知県犬山市の公式キャラクターのテーマ音楽のディレクションをおこなった。誰もが覚えやすく歌いやすい唄と、踊りやすい振り付けを心がけた。(2分34秒)
委託:犬山市観光協会
デョレクション:石井晴雄
デザイン:小山奈緒子
作曲:金子恵美
作詞:太田あゆみ
犬山市の公式キャラクターわん丸君着ぐるみデザイン
愛知県犬山市の公式キャラクターの着ぐるみのデザインディレクションをおこなった。様々なアクションやポージングをおこなうなどの動的な運用を念頭にコンパクトなデザインとし、動きやすくしてスタッフの体力的な負担の軽減を計った。
委託:犬山市観光協会
ディレクション:石井晴雄
デザイン:西崎祐美 (愛知県立芸術大学デザイン専攻3年生)
制作:濱治真理((株)オオイケ)
桜並木の花見茶屋「犬山えこみち」
愛知県犬山市の木曽川沿いの桜並木の遊歩道で、ものづくりのマーケットやワークショップ、フリーマーケット、オーガニックフードや飲み物などを提供するカフェによって地域の住民や観光客が交流できるイベントの企画、ディレクションをおこなった。
桜並木の花見茶屋 犬山えこみち
2008年3月22日(土)-4月6日(日)16日間
10:00-16:00
犬山市内木曽川遊歩道
主催:桜並木のオープンカフェ実行委員会、犬山市、犬山市観光協会
企画・ディレクション:石井晴雄
趣旨:環境問題は文化の問題です
古来より日本人は桜の開花を春の訪れの印として尊んできました。桜の語源はサ=神、クラ=来る、との説があり、冬の間、山に帰っていた豊穣の神が郷へ降り てくる印として桜の花を咲かせるのだ言われています。そのような桜の花の季節に、春の訪れを祝うイベントを行うことは心浮き立つことです。
近年、地球温暖化などの環境問題は大きな関心事になりつつあります。しかし環境問題は、現在の地球上に存在する様々な問題の一つの反映にすぎません。石油 エネルギーと科学技術文明によって経済や工業、物流は発達し、より早く、よりたくさん、より上にといった価値観が効率化、スピード化、グローバル化を促進 し、その結果が様々な競争や格差、戦争、不平等、阻害そして公害や地球温暖化となって現れています。つまりより早く、よりたくさん、より上にといった人間 自身の意識が、地球環境の問題の根本にあると言ってよいでしょう。
現在、あらゆるものが巨大化しブラックボックス化した結果、人間同士の「顔の見える関係」は失われ、食や住の安全を脅かす問題が多発しています。またモー タリゼーションの発達によって地域のコミュニティーは寸断され、マスメディアとマスプロダクト、グローバリゼーションによって人々の価値観や生活様式、そ して地域の文化は画一化され、自由さと多様性を失ってしまいました。その結果人々は自分たちの地域や伝統、文化に対する誇りを失い、人や土地とのつながり を失い、そして自分自身への自信を失い、自分たちの土地や地域、伝統、自然、人とのつながりを省みなくなったことが、自然破壊や文化の破壊を招き、環境問 題などの様々な問題として露呈しているのではないでしょうか?環境の問題は人間の意識の問題であり、文化の問題なのだと思います。だからまず自分たちの地 域の伝統や文化、土地、自然、人とのつながりやをもう一度見直し、それらを回復することが、結果として環境問題や様々な問題の解決へとつながるのではない でしょうか。
人間が2本の足を使って歩くとき、そこには競争も格差も存在しません。そして美しい自然に囲まれ、おいしいものを食べ、人と語らうとき、心と体は自然に オープンになります。そこが自分たちの土地や地域、伝統や文化、自然、人とのつながりを見直す原点になると思います。犬山という伝統文化と豊かな水の恵み と自然環境に恵まれた街から、そんな新しい流れが生まれれば幸いです。
キーワード
1、環境
・オーガニックフードや飲み物などを提供するなど、心と体にやさしいゆったりとした空間、時間を提供する
・ゴミはださない(使い捨てのトレイや紙、割り箸などは極力使わない)など環境に配慮する
2、地域社会、住民の交流、市民参加
・地域や近県の住民と出店者が様々な体験の共有、情報交換、人との交流、経済的な交流を活性化する
・同じ生活者の目線に立った、手作り感のある内容
3、景観との調和
・華美な設置物や音響、騒音を排除し、桜の花と犬山城、木曽川などの自然と文化遺産と景観を阻害しない
・主役は桜の花や犬山城、川であり、なによりも人である=消去法デザイン
4、ユニバーサルデザイン
・お年寄りから子ども、乳児まで幅広い年齢層と性別、社会的バックグラウンドの違う人々が、共存、交流し、安心してすごせる空間をつくる
6、一貫性と多様性
・多種多様な出店形態の中でもデザインとテーマの一貫性と多様性、自由さを両立させる
店舗内容
本企画のメインテーマである環境を重視したオーガニックな食べ物や飲み物などを提供する出店を希望しました。またマッサージやアロマなどリラクセーション をテーマにした出店、そして地域社会、住民の交流をテーマに、地域の特産品、名物、地域で採れた野菜、果物、手作りのクラフト、手工芸品などの販売を奨励 しました。また遊びやコミュニケーション、ワークショップなどの体験の提供、情報交換、人との交流を活性化する内容を歓迎しました。
えこみちカフェ
パラレル食堂
樋口 仁、松山奈津子のフードユニット、パラレル食堂は、お餅つきで参加。樋口さんが「えこみちマン」に変身してお餅をつき始めると通行中の皆さんの輪が できて、楽しくお餅をつきました。メニューは草餅にアンコとうぐいすきな粉、醤油に海苔。それを木のお皿や竹の皮にのせて食べていただきました
おまめ商店(布ナプキン、染め物)
カードリーディング樹鈴☆きりん☆
カードを通して天使や女神などからの メッセージお伝えします。 自分の中にあるキラキラをみつけましょ。 そんなお手伝いします。
ATELIER705
てづくりクッキーとキモーブ。
keito(ケイト)?くらしてづくりぬくもり屋?
暮らしの手作り雑貨 、布ナプキン、みつろう(キャンドル・クリーム)や手作りのハーブティーでくつろぎの空間を演出してくれました。
ヒーリングスペース さくら
九星氣学占い angie (開運グッズ販売、おみくじなど)
九星氣学とは 中国4000年の統計学による、氣を9つに分類する学問。 生年月日より、個人の氣の流れを読み取り人生の地図をつくります。
OSHOカードしのぶちゃん
ネパールの手作り小物(子供たちへの支援活動)
のろ屋
フリーマーケットやヘアアクセサリー・エコバッグ・マイ箸袋 、エコバッグなどの小物をその場で手作り販売しました。
ビーンズ
シュタイナー関連の手仕事品 、シュタイナー手仕事ワークショップ
ペレットストーブ
森林の間伐材などを利用できる今話題のペレットストーブをお茶を沸かすために使いました。
まぁむキッチン
マクロビ弁当とマクロビスィーツ、やさしくて深い味わいでした。
古材家具工房わだひろや
古材家具、古家具、古道具、小物、中古カメラなど。カフェのスペースも和田さんのところから小学校の机や椅子でつくりました。
http://homepage3.nifty.com/kozaikagu
handmade zakka 映(手作り石鹸)
家具工房 栗原
笛(実演つき)、つみき、カッティングボードなどの小物 販売。手作りの笛はやわらかいとてもよい音色でした。
注文の多い写真店(針穴写真撮影)
花見に来た人たちのポートレイトをポラロイドを使ってピンホールで撮影する。 (ハッセルのボディを利用した、ピンホール撮影) 日光を利用して、ゆっくりと撮影するピンホール写真で、デジカメとは異なった、スローな写真撮影を体験。
旅人の店
手作りポストカード、手作り旅の本、似顔絵
西村自然農園(手作りの加工食品)
おみくじ屋さん
子どもたちの手作りおみくじ屋さん
ヒーリングサロン INIPI(イニピー)
身体と脳を癒すセリブラルセラピー (インディアンヘッドマッサージ) 。服を着たまま 椅子にかけてできます。 インドの伝承医学アーユルベーダにもとづき確立されたもので、 感情、身体、精神のすべてに作用します。 神経系全体を沈静および強化し、 真のリラクゼーションに導くヒーリングシステムです。 頭脳疲労、精神疲労による心身不調の改善とともに 安らぎと幸福感とリラクゼーションが得られます。 背中、肩、腕、首を揉み解し、頭、顔、、耳と やさしくほぐしてゆきます。 首と頭にアロマのエッセンシャルオイルを少量だけ使用し その効能と合わせ効果を高めてゆきます。 ほとんどの方が眠ってしまい、短時間で質の高い睡眠が得られます。呼吸法を取り入れていますので、 起きている間は瞑想状態になり深い癒しがもたらされます。
自転車発電
自転車発電でレコードプレーヤーを鳴らしたり、綿菓子を作りました。綿菓子は5分くらいこぎ続けないとできないのでみんなで交代でつくりました。お父さんが子どものために一生懸命自転車をこいだりして、とてもほほえましい光景でした。
小木曽さん(おぎやん)
飛び入りで古楽器の演奏や子どものワークショップなど、すてきなパアフォーマンスをしてくれました。
犬山えこみちフライヤー、電車中吊り広告
愛知県犬山市の木曽川沿いの桜並木の遊歩道で、様々なものづくりのマーケット、様々なワークショップやフリーマーケット、オーガニックフードや飲み物などを提供するカフェによって地域の住民や観光客が交流できるイベントのフライヤーと電車の中吊り広告のデザインディレクションをおこなった。
クライアント :犬山市観光協会
ディレクション :石井晴雄
デザイン :小山奈緒子
イラストレーション :宮崎知恵(愛知県立芸術大学美術学部デザイン専攻メディア領域3年)
川口由一講演会+パラレル食堂+森を歩こう
愛知県長久手市ごじから村ほとぎの家及び名古屋市名東区猪高緑地において、一般市民を対象とした森を歩くフィールドワークと自然農の講演会、自然農で栽培した野菜による食事会のクロスメディア的な参加型のイベントを企画・運営を行い、身近な自然や自然農への理解と市民の交流の促進をおこなった。
2007年10月8日(月、祝)15:00-20:00
ゴジカラ村ほとぎの家(愛知県長久手市)
猪高緑地(名古屋市名東区)
あなた・わたし・みんな てんこもり
愛知児童総合センターの委託により「コミュニケーションの機能としての祭り」をテーマとして、2ヶ月にわたって、地域の子供を対象として仮装、フェイスペインティング、音遊び、体遊び、パレードなどによる、参加型のクロスメディア的な体験を提供した。
2007年3月18日-5月13日
毎週土日開催、計18回開催
愛知児童総合センター、愛知県長久手市
委託:愛知県児童総合センター(財団法人愛知公園協会)
企画、ディレクション:石井晴雄(環境メディア研究会)
研究協力者:樋口仁、野呂有里、浦雅子、伊藤美穂、船橋一華他
撮影:本田千穂、内藤祐子、石井晴雄
たき火プロジェクト
愛知児童総合センターの企画により、 メディアアートの展覧会「エキゾチック」展で、火をテーマに参加型の展示とワークショップを行った。火を扱うことが少なくなった地域の子ども達に、蜜蝋でロウソク作りや、火を使った料理作りなどの多様なワークショップを通して、火を使うことの意味やたき火のにおい、たき火をした後の気持ちよさを感じる体験を提供した。
2007年1月28日
愛知児童総合センター
主催:愛知児童総合センター
企画、ディレクション:石井晴雄
スタッフ:野呂有里
エキゾチック展企画:茂登山清文(名古屋大学)
http://www.acc-aichi.org/aburabu/34go/syosai.html#07
メディアアートの展覧会「エキゾチック」展の一環として、たき火プロジェクトを行った。最近、焚き火をすることがなくなった。できたとしても消防署の許 可をとることが必要であったりして、子供たちが焚き火をする体験もあまりないかもしれない。そこでたき火を起こして、そこで様々なコトがおこる場をつくる ことをとおして様々な有形、無形のものを創りだしてみたいと思った。
なにかをしてもよいし、なにもしなくてもよい。 ただ焚き火をしたり、薪や枯れ枝、枯葉をあつめたり火にくべたりするだけでもよい経験になるかもしれない。また火をみているとなんだかとても気分がおちつ いたり、 たのしくなったり、なつかしい気持ちになったりする。火には不思議な力があるようだ。また火を囲んでいると自然と会話がはずんだり、なにも話さなくてもい いような気持ちになったりする。ただ火があるだけでなにか「状況」「場」をつくりだされる。
万博跡地からは夕日がきれいに見える。 焚き火をしながら夕日をぼんやりみる、ただそんな「時間」がつくれたよいと思う。
1-蜜蝋ろうそくづくりワークショップ
蜜蝋を体温で融かしてろうそくをつくった。冬の寒いさなかに、たき火の火で手と蜜蝋を暖めながら徐々に融かしてろうそくの形にしていく。なかなか融けないけれど、いそがずにのんびりじっくり取り組んだ。
2-お団子を焼いて食べる
お団子をたき火で焼いて食べた。寒い日にはお団子の焼けるこおばしい香りがたまらない。
3-パンを作って食べる
その場でイーストを混ぜた小麦粉を練って、おなかの中に入れて発酵させてパン種をつくり、竹の先に巻き付けてたき火であぶって食べた。おいしそうな焦げ目がついたらできあがり。
4-焼き芋を焼いて食べる
サツマイモをアルミホイルに包んで、少し下火になったたき火に投げ込んでしばらく待つと、焼き芋のできあがり。みんな夢中でほおばりました。メザシやマシュマロなども焼いて食べました。
5-あたたまる、あつまる
まだ寒い冬の日に、たき火のまわりにただあつまってあたたまりました。そこで自然に会話がかわされたり、同じ時間と空間を共有するだけで十分楽しい体験を することができました。プリミティブな火が太古の昔からの人間の本来の姿を呼び覚ましてくるのではないかと思いました。
焚き火メディアである
はじめに
羅針盤の発明によって西洋航海術が発展し、大航海時代が到来した。グーテンベルグの活版印刷術によってルネサンスと宗教改革という意識革命がおこった。あらゆる文明の興隆と意識革命の影には、それを支えたテクノロジーとメディアの存在があったのだ。しかし火ほど多大な恩恵を人類に与えたものはない。火こそが人類が始めて手にしたもっとも偉大なテクノロジーであり、メディアだったのだ。
コミュニケーションの原点としての火
火はノロシや灯台として交信に使用され、また夜道を照らし、道しるべとなり、火のあるところをめざして人が集まる。祭りの中心には常に火があり、オリンピックは、太陽の光を集めて作られた聖火の到着とともに始まり、聖火が消えるとともに終わる。誕生日にはロウソクに火を灯し、それを吹き消すことによって新たな歳を迎える。また仏壇には灯明が灯され、先祖の霊の道しるべとなる。火はアクセスルートを確保し、人の意識と情報を集約し、人類初のリモートコミュニケーションテクノロジーであった。また彼岸と此岸、生命と魂、死と再生の媒介者であり、すべての生命と物質、エネルギーの根源である太陽の分身である。
火はコミュニケーションのプラットフォーム
そして火はコミュニケーションのプラットフォームである。太古の昔より火を囲んで民族の歴史や伝承は語り継がれ、また火を囲んだ語らいによって、人間の意識のバリアは解消される。人類は火を囲んで食事をし、語らい、そしてともに寝た。部族の集会の中心には常に焚き火があり、家族の中心にはいつも火があった。火は常に家族のぬくもりとともにあり、家族の永続性と安らぎをもたらすものとして、細心の注意をもって守られてきた。また人類は火で食物を加工し、調理することによって多様な味覚を発達させ、感性を拡張してきた。そしてゆらめく炎の1/Fゆらぎ効果は人間の快楽中枢を刺激し、火と煙の匂いとともに、DNAに刻み込まれた人類の太古の記憶を解放する。火は人類の文化の根源なのだ。また人間は、分厚い毛皮を持つ他の哺乳動物たちとちがい、薄い皮膚に覆われた脆弱な身体を持つ生き物であるがゆえに、皮膚の延長として衣服をまとい、住居を建設した。そしてその内外で焚かれた火は第二の体温であり、サイバネティックに拡張された身体の一部であった。
火の代替物としてのテクノロジー
火は焼く、煮る、香りを出す、消却する、暖をとる、闇を照らすなど、実に多彩な用途に対応し、またそれらを同時におこなうマルチパーパスでマルチタスクなプラットフォームである。そして子供も大人も誰もが手軽に使えるフリーアクセスツールである。しかし火を失った現代人は、その代わりに数々の火の代替物を必要とするようになった。電灯はロウソクの火の代替物であり、電子レンジ、IHヒーター、そしてテレビやパソコンさえも暖炉や囲炉裏の代用品であるかもしれない。すべてのテクノロジーは火の代替物であり、アナロジーなのである。また現代社会の主要エネルギーである電力の多くは、石油の燃焼によって生産され、また主要な移動手段である車もまたガソリンの爆発的な燃焼によってその駆動力を得ている。形態は多様化しても、人間の社会は常に「火」によって動いているのだ。火はすべての社会の根低にあり、我々の社会活動の源泉 なのである。
火に宿る狂気
この惑星系は水素原子の核融合反応の連鎖によってできた、太陽という火の玉によって維持されている。また地球上においては、可燃物の急激な酸化反応によって熱と光が放出され、その熱エネルギーがあらたな酸化の連鎖反応をひきおこし、燃焼という継続的な現象を引き起こす。それは個体から気体への変容であり、エネルギーの交換である。火は美しい。しかし近づきすぎると火傷をする。また不用意に扱うと火事の元となる。火は多彩な用途と神秘性を持つ一方、大きな危険性ともまた表裏一体である。そのアンビバレントな両義性と魔性性は人間を虜にし、理性的思考はその火に宿る狂気を恐れる。ヨーロッパ中世の魔女狩りで、「魔女」たちは「火あぶり」にされたのも必然であるのかもしれない。
人の心にも火はともる
そして人の心にも火は灯すことができる。それは人の心の潜在的な可燃性因子である感情の連鎖的科学反応をおこし、さらに燃え広がってゆく。火は誰の心にもアクセスするオープンプロトコルであり、人の心に連鎖的なネットワークを作り出し、心のプロテクトをはずすネットワークキーである。
まとめ
最近、焚き火をしなくなって久しい。防火意識の高まりで、焚き火は危ない、火は悪いものという意識さえ常態化している。そして火は我々の日常から姿を消し、電気に身をやつし、エンジンの中で密かに燃えるものとなってしまった。そして火の力は、すべてをブラックボックス化してしまう現代社会によって抑圧され、隠蔽されてしまった。火を失ってしまった人類は太古からの歴史、そして心の中の光と熱までも失ってしまったのではないだろうか。そして道しるべを失ってしまった我々の魂は、現世をさまよいつづける。焚き火は実体のあるものは何も創造しないが、それは燃焼という現象を利用した動的な「状況」であり、時間と場の創造である。そしてその場によって実にさまざまな「コト」が創出されるプラットフォームであり、したがってそれはすこぶるメディア的だと言えよう。そして焚き火は忘れていた人類の原始の記憶をたぐり寄せ、我々自身の存在の根源を目覚めさせてくれる普遍的な装置なのである。