大学院美術特別研究 環境とメディア エコハウスをつくる

2008年〜2013年
愛知県立芸術大学長鶴池
ディレクション:石井晴雄
設計協力:一柳 亘(一柳建築設計事務)
施工、指導:エコプランニング

大学院美術特別研究「環境とメディア」では
地域の間伐材を使用してエコハウスをワークショプ形式でつくった

メディアとしての建物:機能性、参加性、更新性、拡張性

現代の家はプライバシー保護という名の元に、外界や地域社会とは隔絶された空間になっている。そして一度建ったら変更したり拡張したりすることは容易ではない。また現代は職住分離の生活形態になって、人の住む家と生産する場所は隔てられ、そして住人は地域のコミュニティーからも隔てられてしまった。しかし本来人が住む家とはもっと外界や地域に開かれ、地域社会や周囲の環境と有機的な関係を持ったものではなかっただろうか?
このプロジェクトは活動の場として、また様々な交流の場として建物を建てると同時に、建物を完成させることだけではなく、建物を建てるプロセスをとおして現在の森林と林業の現状を知り、周囲の環境との関係を考え、環境との親和性、環境に低負荷な材料と施工方法、自然エネルギーの利用など様々なことを考え、体験することを目的としている。
このプロジェクトにおいては建物を決して固定的なものではなく、可塑的で自由に組み替え可能な、そして周囲の環境との関係の中に存在するものとして捉えている。まるでインターネットのwebサイトのようにオープンな参加性があり、カスタマイズ可能で更新性、拡張性があり、そして周囲の空間や環境との関係によって成り立ち、コミュニケーションの場となる「メディア的」なものとして建物を捉えている。

メディアとしての家:機能性、参加性、更新性、拡張性

現代の家はプライバシー保護の名の元に、外界や地域社会とは隔絶され、そして一度建ったら変更したり拡張したりすることは容易ではない。また現代は職住分離の生活形態によって人の住む家と生産する場所は隔てられ、そして住人は地域のコミュニティーからも隔絶されてしまった。しかし本来人が住む家とはもっと外界や地域に開かれ、地域社会や周囲の環境と有機的な関係を持ったものではなかっただろうか?
このプロジェウクトは様々な活動や交流の場として建物を建てると同時に、建物を完成させることだけではなく、建物を建てるプロセスをとおして現在の森林と林業の現状を知り、周囲の環境との関係を考え、環境との親和性、環境に低負荷な材料と施工方法、自然エネルギーの利用など様々なことを考え、体験することを目的としている。
このプロジェクトにおいては建物を決して固定的なものではなく、可塑的で自由に組み替え可能な、そして周囲の環境との関係の中に存在するものとして捉えている。まるでインターネットのwebサイトのようにオープンな参加性があり、カスタマイズ可能で更新性、拡張性があり、そして周囲の空間や環境との関係によって成り立ち、コミュニケーションの場となる「メディア的」なものとして建物を捉えている。

周囲の環境との関係

このプロジェクトでは愛知芸大の野外の敷地の中で、建物と食物を生産する畑とワークショップをする営みのスペース、そして林などの自然環境が一体となって機能する場所をつくり、その場所で様々な活動をおこないながら実際的な様々なフィードバックを得ることを目的としている。
このエコハウスは周囲を林に囲まれ、畑とワークショップができるスペースに隣接している。畑で採れた野菜はワークショップスペースで加工、調理したり、また林で採取した枝などもワークショップスペースで薪として利用したり、林で集めた落ち葉や腐葉土は畑に持っていって肥料にするなど、林と畑とワークショップスペースがそれぞれ隣接しながら有機的に連動しており、エコハウスはそのほぼ中心に位置し、林と畑とワークショップに必要な道具の収納などの機能を果たしている。

環境との親和性

このエコハウスは三方向を林の木々に囲まれ、夏は木陰になり暑さから守られ涼しい。ウッドデッキの部分まで木陰になり、その上での作業などもしやすくなる様にした。扉は大きく西側を向いているため冬の暖かな西日を呼び込むことができる。また高床式にすることによって、地面からの湿気を遠ざけるようにした。
周囲の環境に埋もれるように建っていることによって、周囲の環境を乱さず突出しないで林と一体化することをこころがけた。また必要最小限の空間でありながら、周囲の環境や空間に開かれた構造にすることによって閉塞感がないように意図した。

環境に低負荷な材料と施工方法、自然エネルギーの利用

建材は屋根と基礎、窓ガラス以外はすべて環境に低負荷な杉などの間伐材を使用した。また窓ガラス、窓枠は解体された教職員住宅のものを再利用した。基礎にはコンクリートを用いたが、独立基礎として環境への影響を最小限にした。また太陽光発電装置、雨水タンクを設置し自然エネルギーについても研究を進めたい。また災害時の避難所などにも活用できるかもしれない。

更新性、拡張性

材料は杉などの地域で調達可能で安価な間伐材を使用した。杉などは誰でも加工しやすく、誰もが建築に参加できる。また基礎や屋根、柱などは強度や構造上の問題から建築士に施工を依頼したが、それ以外の壁、ウッドデッキ、手すり、窓などは学生と共同で取り付けた。
壊れたら自分たちの手でいつでも修復できるし、新しい機能が欲しくなったら大工道具で簡単に取り付けられる、そんな自由な拡張性が楽しい。

参加性

計5年ほどかけて通算10名以上の大学院生がこの建築には関わった。完成することが目的というよりは、一人ではできないものを多くの学生の力を合わせてつくる共同体験を得ることが、このワークショップの大きな目的の一つだ。とかく自分の世界にこもりがちな近年の学生に、このようなシンプルな共同作業をとおしてコミュニケーションの体験を提供したい。

活動の場として

西側の扉を大きく開放することでウッドデッキと一体化して広いスペースを確保でき、ワークショップや各種の活動、作業などができるようにした。小さな空間だが、様々な状況に合わせてフレキシブルできるようにした。また普段は機材や材料置き場としても利用している

展示、交流の場として

西側の扉は大きく開放することによって、ウッドデッキと一体化してギャラリー空間としても利用できる。来訪者は作品を見ながら歓談することができる場ともなっている。

>授業の記録

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