ながくてピクニックとは

概要

ながくてピクニックは日本の愛知県長久手市で、ミュージシャンやアーティスト、デザイナー、料理人、農民、学生、まちづくりや自然体験の活動をしているメンバーが、農や食、音楽、アート、自然体験をとおして地域の住民が交流できる場を作るという目的で行っているイベントです。
長久手市は人口7万人ほどの町で、豊かな自然もあり農業も盛んでしたが、近年は開発が進み、伝統的な地域社会は失われつつあります。また日本で2011年に起こった東北大震災と福島の原発事故によって多くの自然が破壊され、土地や農地は放射能に汚染され、多くの人たちが現在も避難生活を送っています。そのような状況の中で、自然環境や農業、地域社会の重要性を改めて感じ、地域の人たちのコミュニケーションを活性化し、自然環境や農への理解を深める機会を作りたいと思い、このイベントを始めました。

参加型のイベント

ながくてピクニックは子供から大人まで多様な参加者が、野菜や草花を採取して料理をして食べたり、会場を装飾したり、ダンスや音楽のワークショップをしたり音楽のライブ演奏を聴いたりする参加型のイベントです。イベントづくりに関わることによって自分たちが作っているという当事者意識を持つことができ、またイベントの準備や後片付けを皆ですることによって参加者同士がコミュニケーションをすることもできます。また参加者が準備に参加することによって、イベントを運営する予算も抑えることができるます。

参加することによって作るアートや音楽、デザイン

伝統的な社会においては誰もが踊ったり歌ったり、あるいは食事を作ったりして祭りに参加していました。しかし近代の社会ではアートや音楽、デザインは専門化し、高度化し、商業化されて、誰もが気軽に参加できるものではなくなってしまいました。ながくてピクニックでは子供から大人、お年寄りや男女の区別なく誰もがワークショップを通して思い思いのやり方で料理やアートや音楽、デザインに参加することもよって、アートや音楽、デザインをもっと身近に感じられるものにしたいと思っています。

音楽や踊り、アート、デザインの原点を探る

日本は四季の変化がとてもはっきりしてるところで、古来より季節の変わり目には春分や秋分などの節句の祭りがありました。そしてそこには音楽や踊りや料理などは欠かせないものでした。春になれば春の花が咲き、山野草が芽吹き、人は春が来たことを感じてウキウキした気分になります。そして春の山野草でお菓子を作って食べたり、春の草花で飾りつけをしたり、音楽を演奏したり踊りたくなります。また秋になって野菜や穀物を収穫するとき、その収穫のありがたさを感じてとても嬉しい気持ちになり、採れたての野菜や穀物を食べて皆と収穫を祝いたいと思います。そのようにして祭が始まり、音楽や踊りなどの芸能、しつらいや衣装などのアート、デザインが生まれてきたのではないでしょうか。ながくてピクニックはそのような自然や四季に根ざした音楽やアート、デザインのあり方を追求しています。

地域の固有の文化の再生

近年ではグローバリズムによって地域固有の文化は失われ、地域の文化は画一化されてしまいました。そして地域のアイデンティティーと地域の文化への誇りは薄れ、文化が持っていた地域への求心力は失われてしまいました。そしてアートや音楽、デザインと農や地域、自然との関係も希薄になってしまいました。ながくてピクニックでは音楽は地元のミュージシャンがオリジナルな曲を演奏し、アートは地元の人たちによって周囲の草花を使って行い、料理も地元に縁のある料理人によってその季節に地域で採れた野菜や野草、穀物を使っておこないます。そして新しい形で地域固有の文化を作ることを目指しています。

非言語的なコミュニケーションとしてのアート、音楽

社会には多様な意見や価値観を持つ人たちがおり、それらの多様な意見や価値観を持つ人たちの間でコミュニケーションをすることはとても難しい場合があります。しかし楽しい音楽やアート、美しい草花や自然を感じ、美味しい料理を味わう時、人々の気持ちは解放され、共感が生まれ、人は互いの意見や価値観の違いを超えることができます。社会や地域の人たちが出会い交流するために、音楽やアート、食べ物などの非言語的で直感的なコミュニケーションはもっと着目されて良いのではないでしょうか。

五感で感じる総合芸術の空間

ながくてピクニックは音楽という聴覚芸術、アートや装飾という視覚芸術、料理という味覚の芸術、そして料理や季節の匂いと言う嗅覚、野外で季節の風を感じたり手や体で作業をする触覚など、五感をフルに使って感じることができる総合芸術の空間とも言えます。そして野外で活動することによる自然とのつながりや、地元の食を味わうことによる大地とのつながり、一緒にワークショップや作業をすることによって感じる地域の人とのつながりを感じることができます。ながくてピクニックはそのようなトータルな全感覚的な体験の場を提供したいと思っています。

地域に根ざした暮らしのために

原発事故に伴う停電と節電によって、私たちはこの社会のエネルギーインフラの脆弱さと、それらの巨大なエネルギーシステムに依存していることの危険性を改めて感じました。そして原発やグローバリズムなど巨大な集中統合型のシステムをベースにした暮らしから、地域をベースにした地域循環型の暮らしめざすことが必要だと感じます。現在はインターネットやスマートフォンが普及し、webサイトやSNSによって地域の人と人の新しいつながりができつつあります。また自然エネルギーなどの小規模分散型のシステムが発達しつつあり、地域に根ざした暮らしができる可能性が高まりつつあります。そして地域に根ざした暮らしに不可欠なものとして、アートや音楽、料理、デザインを考えてゆきたいと思います。

 


ながくてピクニックのスタッフ

石井晴雄(代表、ディレクター、愛知県立芸術大学石井研究室
新見永治(パルル parlwr
藤森幹人((株)対話計画、まちづくり、都市計画、地域開発、ランドスケープデザイン)
橋本知久(時間芸術家、アトリエ・ラーノ
青柳努(ミュージシャン、ヒフミヨイ農園
小林かよ(ミュージシャン、ヒフミヨイ農園